大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

佐世保簡易裁判所 昭和36年(い)2438号 判決 1961年8月03日

被告人 ドナルド・レイ・テンナント 外一名

略式命令

(被告人氏名略)

右の者等に対する過失往来妨害被告事件について、つぎのとおり略式命令をする。

主文

被告人ドナルド・レイ・テンナントを罰金弐万円に、

同  バトリツク・ラルフ・ジヨーダーノを罰金弐万円に、

各処する。

右各罰金を完納することができないときは、金二百円を一日に換算した期間当該被告人を労役場に留置する。

事実

被告人両名はいずれも米海軍佐世保基地米国海兵隊所属の海兵隊員であるが、昭和三六年六月二五日午前五時頃佐世保市鹿子前町九六九番地鹿子前観光桟橋に繋留中の佐世保市企業局交通部所属のデゼルエンジン付観光船第二西海丸(四三・七六屯)を認めるや酔余好奇心からこれを運航しようと企て共に同船に乗込んだのであるが両名共この種船舶運航の技能も経験もなく、且つ同所附近は屈曲の多い海岸線のある危険海面でもあるので、衝突、坐礁等の事故発生が充分予想されたのであるから自らこれを運航すべきでないのに拘らず、不注意にも被告人テンナントは同船の操舵を、同ジヨーダーノはその機関部の操作をなし両名共同して同船を運航した過失によりその操舵を誤り、同船を右桟橋より西方約二百米の対岸に衝突坐礁させ、前記無謀操舵並びに衝突により同船に対しダリンドメピンの脱落、キール包板船首在下部金物の各破損船体のひずみ等を生ぜしめ以て一時航行を不能ならしめて同船を破壊したものである。

適条

過失往来妨害 刑法第一二九条第一項後段、第六〇条

罰金等臨時措置法第二条第三条、刑法第一八条

(裁判官 竜田義光)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例